最高等級である耐震等級3の建物なら地震に強くて安心!
そう思ってしまうかもしれませんが、結論から言いますと決してそうではありません。
地震に強い家 ≠ 耐震等級3 なのです。
重要なのは、
しっかりと構造計算をしているかどうか です。
そして構造計算には種類があり、やり方によって耐震性に差が生まれること知っておくことが大事です。ここが「しっかりとした」構造計算であるかどうかに関わってきます。
Point 1 構造計算の違い
構造計算とは、地震、風、積雪などの荷重(力)に対して、どのくらい耐えられるのか、その力はどのくらいなのかを算出することです。
そして住宅の構造計算においては、大きく2種類に分けることができます。
■壁量計算(へきりょうけいさん)
この図の左側、揺れに対する壁の量のみを考慮する簡易的な計算方法です。
壁の量である「壁量(へきりょう)」が基準を満たされていればOK、というルールです。どの位置にどのくらいの強度の壁を作りなさい、といった細かなところまで加味していません。
■許容応力度計算(きょようおうりょくどけいさん)
この図の右側、木造3階建てや鉄骨・RC造の設計時に必要な計算です。
建物を作る部材、例えば柱や壁が、どのくらい強いのか、どのくらいの荷重(ちから)まで耐えられるのか(許容応力)を計算します。
そしてそれらをバランスよく配置していきます。
このふたつの構造計算を比較すると、許容応力度計算の方が細かな計算をする分、時間がかかり複雑です。
また、同じ壁の量だとしても、許容応力度計算の方がバランス良く壁を配置するため、より強い構造にすることが可能です。
「しっかりとした構造計算」をしているかどうかが重要です、と前述しましたが、
この「しっかりとした」は、つまり「許容応力度計算」のことです。
地震に強くするために壁の量を増やせばいい、というわけではありません。壁のバランスがとても重要です。
一定方向のみの揺れには強く、別方向の揺れには弱いという構造になりかねないからです。
簡単な計算である壁量計算も、複雑な計算である許容応力度計算も、どちらも構造計算と呼ばれています。
確認申請時でも、性能評価(耐震等級を取得する等)するときでも、どちらの計算も認められています。
そう、やり方に違いはあれど、申請上はどちらでも構造計算をしているという事実なのです。
Point 2 耐震等級3≠許容応力度計算
ここまでのまとめになりますが、建築確認や品確法の申請上、構造計算の種類は問いません。
耐震等級を取得していることと、複雑な許容応力度計算を実施していることは、必ずしもイコールではありません。
壁量計算でも耐震等級3は取得できます。
先ほどpoint 1 で説明した通り、壁量計算と許容応力度計算は大きな差があります。
耐震等級3という同じ等級の中でも、壁量計算と許容応力度計算による差が生まれるのです。
「耐震等級3を標準仕様にしています。」
「耐震等級3の家です。」
このような売り言葉に惑わされないよう注意が必要です!重要なのは「許容応力度計算」を実施しているかどうかです。