不動産を売って手にした売却益は「譲渡所得」として税金が発生する。売却益(譲渡所得)はあくまで利益なので、売却価格から不動産を手に入れるときにかかった費用=「取得費」と、売るのにかかった費用=「譲渡費用」を差し引いて計算することになる。
譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)
ここでは、譲渡費用について解説しよう。そもそも売るときの経費が多くかかって、利益(譲渡所得)が少なければ、支払う税金も少なくなる。そのため、譲渡費用はもれなく計上したいところ。
ただし、売るときにかかった経費がなんでも譲渡費用と認められるわけではない。譲渡費用は不動産を売るときに「直接」要した費用で、所得税基本通達等では次のように例示している。
取得費については「取得費の計算方法」を参照してほしい。基本は購入時の価格を指すのだが、建物がある場合は経年変化の影響をとりいれたり、購入時価格が不明な場合は法律で決められた計算方法があったりと、こちらも注意が必要だ。
【譲渡費用になるもの】
(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料など
(2)印紙税で売主が負担したもの
(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうために支払った立退料
(4)土地などを売るための建物の取壊し費用とその建物の損失額
(5)売買契約締結後、さらに有利な条件で売るために最初の契約者に支払った違約金
※土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金
(6)借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など